ユース教授が振り返る才能たちの“原点”
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■陸上選手からサッカー選手へ…代表デビューを果たした宮市亮の驚くべき成長速度
宮市亮がついに代表デビューを飾った。5月24日に行われたキリンチャレンジカップの対アゼルバイジャン戦。背番号11を背負った宮市は、62分に先制ゴールを挙げたる香川真司と代わって、ピッチに投入された。
宮市は得意の左サイドで起用されると、ワイドに張ってボールを受けては、自慢のドリブル突破を披露。73分には右の本田圭佑、中央の岡崎慎司と繋いだボールを、左サイドで受けると、一気にカットインから右足シュート。これは相手GKに阻まれたものの、76分には左サイドをトップスピードでぶち抜いて、ファーサイドの岡崎へクロス。ゴールにはならなかったが、自らの持ち味は披露した。
「正直なところ凄く緊張していた」と苦笑しながらデビュー戦を振り返った彼は、まだ19歳。将来を嘱望される若きスピードアタッカーは、今、夢への階段を着実に上ろうとしている。
思い起こせば彼を初めて見てから、もう6年以上経つが、いつもそのスピードに驚かされる。そのスピードと言うのは、彼の代名詞である走力はもちろんのこと、飛躍的な成長速度も含まれている。
彼の中学時代のプレーは、サッカー選手と言うより陸上選手と言うほうがしっくりくるものだった。大きなストライド、しっかりとした手の振りから繰り出されるスピード。しかし、そのスピードは今のようなゴールに向かっていくものではなく、自陣から敵陣までの縦への仕掛けのスピードであった。
陸上選手からサッカー選手へ。中学、高校と言う時の流れの中で、彼は徐々にフットボーラーとして形作られていく。そして、中京大中京高校の3年間で、彼の今のプレースタイルは確立された。スピードのベクトルは縦からゴールに切り替わり、左からの高速カットインは、彼の代名詞となった。
そして、高校卒業後、彼は海を渡った。イングランドの名門・アーセナルからオランダの名門・フェイエノールトへレンタル移籍を果たすと、そこで彼はオランダ独特の一対一の攻防を肌で感じ、スピードに乗ったドリブルをさらに進化させた。そして昨シーズンは、同じプレミアリーグのボルトンにレンタル移籍し、そこでプレミアリーグを戦う術を身につけた。
着実に世界のトップで戦える術と経験を身に着けている宮市。次に必要なものは、日本代表で生きる術だろう。
「デビューはいつも緊張するタイプなので今日は緊張した。でも、いい雰囲気でやれてよかった。フェイエノールトでもボルトンでも、いつも2戦目で点を取ったので代表でも2戦目で取りたい」
手ごたえをつかんだアゼルバイジャン戦で、新たな一歩を踏み出した宮市。得点を取ると宣言した2戦目は、日本代表にとって非常に重要な試合となる、ワールドカップ最終予選初戦のオマーン戦だ。
Photo:(C)足立雅史
23日のアゼルバイジャン戦で代表デビューを飾った宮市
【プロフィール】
安藤隆人(あんどう・たかひと)
1978年2月9日生まれ。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、サッカージャーナリストに転身。ユース年代の取材のために全国行脚を繰り返し、海外取材も精力的にこなす。今年1月には、これまでの自身の歩みと、取材を通して共に成長してきた本田圭佑、岡崎慎司、香川真司らとの歩みを一冊の本にまとめた『走り続ける才能たち 彼らと僕のサッカー人生』を出版。Numberや日経ビジネスアソシエにも寄稿。
2012.05.28 11:15
宮市 亮
プロフィール
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