戸塚啓の日本代表コラム〜Road to Brazill〜


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海外日本人選手の今シーズン総括part2〜けがに泣かされた本田圭佑〜

長いリーグ戦を終えた海外組が、続々と帰国している。2011-12シーズンも、本場ヨーロッパからたくさんのニュースが届いた。

けがに泣かされたのは、本田圭佑だろう。プロ入り後初めての長期離脱を強いられ、ケガの再発という苦渋も味わった。

本田の戦線離脱は、チーム成績にダイレクトに影響した。ボールの収まりどころにして決定的なパスの供給源を失ったCSKAモスクワは、徐々に下降線を辿っていくのである。ロシア代表の俊英アラン・ジャゴエフもケガでチームを離れ、ブラジル代表経験を持つFWヴァグネル・ラブが1月に移籍するなど、主力選手の相次ぐ離脱がチームを苦しめた。

そんな中でもレオニード・スルツキ監督を悩ませたのは、背番号7を着けた日本人MFの不在だった。本田がシーズンを通じてピッチに立っていれば、ゼニトの独走優勝を許すことも、CL出場権も逃すこともなかっただろう。きわめて客観的な視点に立っても、CSKAモスクワにおける彼の存在はそれぐらい大きい。

もっとも、本田自身の調子は上向きだ。シーズン終盤に復帰すると、ルビン・カザンとの最終節では、昨年8月20日以来のゴールを叩き出した。縦パスに反応してペナルティエリア内に走り込み、相手DFのチャージを受けながら逆サイドネットへシュートを突き刺した。球際での強さとシュートの感覚を、取り戻しつつあることがうかがえる一撃だった。

来季のCSKAモスクワは、CLではなくヨーロッパリーグに出場する。スルツキ監督の更迭も噂され、既に新戦力の獲得も取り沙汰されている。だが、誰が監督になろうと、どのような編成になろうと、本田は不可欠な存在だ。だからといって、彼がCSKAモスクワでプレーすることに満足しているかどうかは別問題だが……。

6月から行なわれるワールドカップ最終予選を踏まえると、ほとんどの選手は悪くないシーズンを過ごしたと言える。昨季に比べて起伏の激しいシーズンを過ごした内田篤人も、3月以降はきっちりゲームに絡んだ。

気になるのは森本貴幸である。今シーズンは途中出場ばかりで、ベンチ入りしてもピッチに立てない試合も少なくなかった。シーズンのハイライトは3試合連続で先発出場し、いくつかの得点に絡んだ昨年9月となっている。

4-2-3-1でも3-4-3でも、日本代表の強みは中盤の2列目にある。香川、本田、岡崎、清武、宮市……タレントがひしめく2列目を生かすのは、1トップ(または3トップ)の頂点に立つストライカーだ。

Jリーグでプレーする前田遼一は安定感があるが、彼と定位置を争ってきた李忠成は6月の最終予選に出場できない。最終予選突破への中長期的な見通しに立っても、森本の復調が望まれる。

本田圭祐
負傷が長引きラツィオ移籍も不調に終わった本田

【プロフィール】
戸塚啓(とつか・けい)
1968年生まれ。サッカー専門誌を経て、フランス・ワールドカップ後の98年秋からフリーに。ワールドカップは4大会連続で取材。日本代表の国際Aマッチは91年から取材を続けている。2002年より大宮アルディージャ公式ライターとしても活動。最新著書に『不動の絆』〜ベガルタ仙台と手倉森監督の思い(角川書店)。『戸塚啓のトツカ系サッカー』ライブドアより月500円で配信中!

2012.05.21 14:02


本田 圭佑 プロフィール

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