戸塚啓の日本代表コラム〜Road to Brazill〜


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『海外日本人選手の今シーズン総括part1〜主役を務めた香川真司〜』

長いリーグ戦を終えた海外組が、続々と帰国している。2011-12シーズンも、本場ヨーロッパからたくさんのニュースが届いた。

海外組の主役が誰なのかは、言うまでもないだろう。香川真司である。

リーグ連覇を果たし、DFBポカールも制して2冠を達成したチームで、文字どおり攻撃の核となった。彼自身はもちろん日本人選手の価値を高めた今シーズンの働きぶりは、ビッグクラブの注目を集めるにふさわしいものだった。パク・チソンに変わるアジア人プレーヤーのシンボルとして、ビッグクラブへステップアップする時期を迎えたのは当然だろう。

国内ではさほど話題に上がらなかったものの、着実な成長を印象づけたのは細貝萌である。所属するアウクスブルクが1部へ昇格した今季も、主力としてプレーした。日本代表にとっても心強い成長だ。ザックが信頼を寄せるボランチは、ゲームコントロールに長けたタイプが多い。遠藤保仁、中村憲剛、柏木陽介らである。彼ら同様にゲームを落ち着かせることができ、なおかつタフに戦える長谷部誠を交えたキャスティングが、日本のダブルボランチを構成している。

だが、来るべきワールドカップ最終予選では、様々なシチュエーションが想定される。3次予選よりアウェー感は高まり、局面の攻防も激しさを増す。相手に主導権を握られる時間帯があり、0-0や1-0で逃げ切りを図る必要にも迫られるはずだ。ゲームの意味合いによって、持ち味の異なる選手を使い分けていくこともあるだろう。

ボール奪取力に優れる細貝は、そうした展開にうってつけの存在である。タフで粘り強いプレースタイルは、中東勢の激しさにも、オーストラリアの高さにも見劣りしない。持ち前のハードワークを日本代表の戦術に適合させることができれば、出場機会は増えていくに違いない。

苦闘のなかで手応えをつかんだのは、インテルの長友佑都だ。

難しいシーズンだった。二度の監督交代があり、そのたびにチーム内の序列がリセットされる。長友もスタメン落ちを経験したが、途中出場からでもアピールを続け、最終的にはチームに欠かせない一人となった。ラツィオとの最終戦にフル出場したのは、絶えずアピールをしてきた彼の姿勢が、周囲に認められた証だっただろう。日本人の誰よりも高いレベルで揉まれてきた男の進化は、インテルとは違うユニホームを着たときに──日本代表の一員としてプレーするときに、改めてハッキリとするはずだ。

Photo:(C)千葉格
香川真司
チームの核としてリーグ戦連覇、ドイツカップ制覇を達成した香川

【プロフィール】
戸塚啓(とつか・けい)
1968年生まれ。サッカー専門誌を経て、フランス・ワールドカップ後の98年秋からフリーに。ワールドカップは4大会連続で取材。日本代表の国際Aマッチは91年から取材を続けている。2002年より大宮アルディージャ公式ライターとしても活動。最新著書に『不動の絆』〜ベガルタ仙台と手倉森監督の思い(角川書店)。『戸塚啓のトツカ系サッカー』ライブドアより月500円で配信中!

2012.05.18 13:35


香川 真司 プロフィール

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