大型補強を可能にした《カバーニ・マネー》

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 仮にあなたが熱烈なユヴェンティーノだったとしたら、ナポリがこの夏に獲得した選手を見て身震いせずにはいられないだろう。逆にナポリっ子なら、胸の高鳴りを抑えるのに苦労するはずだ。

 得点王のエディンソン・カバーニはパリ・サンジェルマンへと旅立ったが、クラブの金庫にはパリSGから支払われた移籍金6400万ユーロ(約83億円)が残った。もともとの資金と合わせ、合計1億2400万ユーロ(約161億円)にも上る巨額の予算を手にしたアウレリオ・デ・ラウレンティス会長は、移籍市場で即戦力級の大物を次々に一本釣りしている。

 ドリース・メルテンス、ラファエウ、ホセ・カジェホン、ラウール・アルビオル、ゴンサロ・イグアイン、ペペ・レイナ……彼らの獲得だけで既に7400万ユーロ(約92億円)を費やしたが、予算にはまだたっぷり余裕がある。8月4日現在、リッカルド・ビゴンSDはポルトのFWジャクソン・マルティネス獲得のため、3200万ユーロ(約42億円)のオファーを提示したところだ。

 王者ユヴェントスはカルロス・テベスとフェルナンド・ジョレンテという強力FWコンビを獲得したし、フィオレンティーナも欧州王者バイエルンからマリオ・ゴメスを補強した。しかし、《カバーニ・マネー》を得たナポリの勢いはやはり頭一つ抜けており、イタリア市場全体を活気づかせている。

 そんな野心的なクラブで新たにチームの指揮を託されたのが、昨シーズンのヨーロッパリーグ優勝監督ラファエル・ベニテスだ。ベニテスは選手との対話を重んじ、母国やイングランドで数々のタイトルを勝ち取ってきた名将。昨シーズン途中に登板したチェルシーでは、クラブから満足なサポートを得られず、サポーターの中傷にさらされながら、チームにタイトルをもたらした。

 ベニテスにはイタリアで苦い思い出がある。3年前、ジョゼ・モウリーニョの後任としてインテルを率いた時は、クラブ・ワールドカップのタイトルを手にしたにもかかわらず、シーズン途中にあえなく解任されている。「インテルへのリベンジという気持ちはない」と本人は語るが、その言葉を鵜う呑のみにするわけにはいかない。彼の笑顔の裏には執念が見え隠れしている。「戦力補強すると言ったインテルが、私との約束を守ってくれなかったことを忘れてはいない」


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