新システムへの順応と守備面の課題
新生ナポリが採用するシステムは、ベニテス得意の4-2-3-1だ。しかし、チームは長年慣れ親しんだ3バックからの移行にやや戸惑っている。また、大量にやって来た新加入組がナポリの環境に順応し、既存メンバーたちと融合するにはある程度の時間が必要だろう。
ベニテスはそんな両者をつなぐ新チームのキーマンとして、マレク・ハムシクの名を挙げた。かつてカバーニ、エセキエル・ラベッシ(現パリSG)とともに形成した《3大テノール》のうち、今もナポリに残るのは彼一人になったが、ハムシクのナポリに対する忠誠心は、地元出身のパオロ・カンナヴァーロやロレンツォ・インシーニェにも劣らない。
本拠地「サン・パオロ」でティフォージの支持を得るために、ベニテスは誠意を見せた。「私はナポリに恋したんだ。ここの方言を覚えなければ」とまで言う彼を、ナポリっ子が歓迎しないわけがない。ナポリ中のピザ屋は、ベニテスがどれだけピザを平らげても、彼に代金を請求することはないだろう。
プレシーズンキャンプを終えた頃、ベニテスは選手たちの信頼を得て、《ドン》という敬称つきで呼ばれるようになっていた。クラブOBでもある前サンプドリア監督のチーロ・フェラーラは「ベニテスとならナポリの成功は約束されたようなものだ。欧州カップ戦のタイトルを取るために足りないものなどない」とエールを送る。
しかし、国外の強豪とテストマッチを重ねるうちに、守備が不安定という弱点が露呈された。アーセナル戦では前半に2点を先攻しながら後半に2失点してドロー、ポルト戦ではオウンゴールや凡ミスが相次ぎ、3失点での敗戦という失態を演じた。
また、イグアインやカジェホンら《元マドリー組》が、戦術への適応やコンディション調整に手間取っているという課題も浮き彫りになった。加入して日が浅いイグアインに猶予を与えることはできるが、怠慢な守備はスクデットを狙うチームとしては決して許されない。幸い、補強するための資金と時間はまだあり、ベニテスは古巣リヴァプールのスロヴァキア代表DFマルティン・シュクルテルを狙っている。
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