東ロンドンにかけられた魔法
《王者》スペインと《王国》ブラジルが激突したコンフェデレーションズカップ2013決勝。《ワールド・クラシコ》とも形容できる全世界注目の一戦で、スペインはブラジルに完膚なきまでに叩きつぶされた。公式戦では南アフリカ・ワールドカップ(W杯)の初戦でスイスに敗れて以来、実に30試合ぶりの敗北。来年のブラジルW杯に向け、チーム状態が不安視されても仕方のない負け方だったが、実を言うと私自身は何も心配をしていない。むしろ、更なる成長を果たすための課題が明白になった、実り多き大会だったと思っている。課題とはすなわち「最前線のファーストチョイス問題解決」、「中盤の構成」、そして「サブ戦術の確立」である。
コンフェデ杯で、ビセンテ・デル・ボスケ監督はいくつかの布陣を採用し、前線にも多くの選手を起用した。ウルグアイ戦とナイジェリア戦はロベルト・ソルダードが、イタリア戦、ブラジル戦ではフェルナンド・トーレスがセンターフォワードを務め、タヒチ戦ではトーレスとダビド・ビージャが2トップを形成。イタリア戦の延長戦では、何と守備的MFのハビ・マルティネスを最前線に入れるサプライズを披露している。ユーロ2012から今年上半期にかけてはセスク・ファブレガスを《偽9番》として起用することが多かったが、今大会ではセンターフォワードタイプを最前線に配する布陣が基本的だった。
今後、どのような戦術を採用するかについてだが、デル・ボスケは元来、純粋なストライカーを起用する傾向がある。ユーロ2012ではトーレスが不調、フェルナンド・ジョレンテとアルバロ・ネグレドは信頼に値するレベルになく、ビージャとソルダードが欠場したため、消去法でファブレガスを起用したにすぎない。今大会では12-13シーズンに好調だったソルダードが初戦でファーストチョイスとなり、元々デル・ボスケの信頼が厚いトーレスがしり上がりに調子を上げて重用されるようになった。今後もトーレスとビージャに高いプライオリティーが置かれるのは間違いないが、それには彼らが本来の調子を取り戻す必要がある。常時、エースとして出場し続ける環境を得ることが何より大切で、特にバルセロナから出場機会を求めてアトレティコ・マドリーに移籍したビージャはブラジルW杯に出場するためにも、新天地で本来の能力を証明しなければならない。
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