若手選手起用数は欧州5大リーグ最低
より深刻なのは若手年代の選手層の薄さだと言える。イングランドは主力クラスの選手を欠くと途端にチーム力が落ちてしまう。元イングランド代表DFのソル・キャンベル氏は、「一部に素晴らしい選手はいるが、全体的なクオリティーは以前より落ちている」と私見を述べた。更に元トッテナムのオズワルド・アルディレス氏は、「来年のW杯どころか、今後20年、30年は勝てないだろう」と厳しい言葉を投げ掛けている。
有望な若手が次々に出現するスペインやドイツといったライバル国と差がついた理由を探るのに、分かりやすいデータがある。昨シーズン、プレミアリーグのピッチに立った21歳以下のイングランド人選手は35人。これは全体のわずか2・28パーセントで、フランス(7・32パーセント)、ドイツ(6・22パーセント)、スペイン(3・40パーセント)、イタリア(2・38パーセント)を下回る欧州5大リーグ最低の数値だった。マンチェスター・シティー、チェルシー、スウォンジー、ストーク、ウィガンに至っては、1年を通じて1人も21歳以下の自国籍選手を起用していない。
これはプレミアリーグに資本が集まりすぎた弊害と言える。強豪クラブはもちろん、昇格クラブにすら有能な外国人選手がいる。彼らによってリーグの競争力や質は上がったが、一方で20歳前後のイングランド人選手がトップリーグでプレーする機会は明らかに少なくなった。巨大な資金が動くことは監督の心理にも影響する。オーナーやフロントから受けるプレッシャーは増し、若手起用による失敗のリスクを負いにくくなっているのだ。こうして経験を積めなくなり、イングランドの若手は伸び悩んでいる。
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