【豆知識】ブラジル事件簿〜対策のヒント〜


W杯もはじまって1週間。幸い大きな怪我はなかったようですが、日本人が強盗やスリにあったというニュースがいくつかありましたね。そこで、いまさらですがブラジルの治安について。



ブラジルは危険だと散々言われていたので、私もはじめて一人旅をした時は怖くて満足に観光もできませんでした(笑)。しかし防犯のコツや、ブラジル基準の危機感を身につければ大きな事件に巻き込まれる可能性はぐっと下がるのではないかと思っています。



今回は、私の周りの人が巻き込まれた事件を、地元の人から教わった避けるためのポイントと合わせてご紹介します。



(1)オープンカフェでテーブルに携帯を置いていたら盗まれた。

これはよくある事ですね。ブラジルでは、道端やビーチではもちろん荷物を体から離してはいけないし、オープンカフェや海の家、露店でも警戒が必要です。私は、財布やパスポートはランニング用の小さなカバンに入れて外から見えないように隠して腰に巻き、大きなカバンは最悪盗まれてもいいものだけを入れるようにしていました。パスポートだけは死守したい!







(2)人通りの少ない暗い道を、電話しながら歩いていたら囲まれ銃をつきつけられた。

人通りの少ない細い道は昼間でもとても危険。その上電話をしながら歩くなんて、今警戒していませんよ〜とアピールしているようなもの。

携帯をひったくられるだけならいいけど、このケースのように囲まれて銃をつきつけらるなんて最悪の事態。もしもこのような事になったら、おとなしくお金や携帯、相手の要求しているものを渡しましょう。お金を渡せば多くの場合それで済むそうです。こんな時のために、お金を分散して持っておくのも大事。靴下の中や靴の底に少しお金を入れておくと、その後避難する時にも困りません。



(3)長さの短い道で、強盗グループに顎を撃たれた。

これは私の叔母の話。幸いかすめた程度なので命に別状はなかったのですが大きなショックを受けていました。ここでポイントなのが、“長さの短い道”。住宅街などに多い短い道は、強盗にとっては逃げやすく、計画をたてやすい恰好の場所なんだそう。道の端と端に仲間が控えていて協力して襲ったり逃げたりするんですって。



(4)車の後ろにぴったりくっついて侵入した強盗に、銃をつきつけられた。

これは私がブラジルでいつも滞在する家で、叔母があった被害…。

泥棒が多い地区の家では、車庫の扉が2重になっていて、車の中からリモコンで操作して開閉します。一つ目の扉を開けて中に入って閉めてから、二つ目の扉を開けて入る、という具合。叔母はいつも、誰か侵入してこないか目で前方を確認しながら、バックで車庫に入り、二つ目の扉にぶつかるスレスレまでバックして、車の後ろをつけて入ってきた強盗はいないか確認するそうですが、この時は急いでいて前から車庫に入ってしまったのだそう。



このようにちょっとした事だけど、少し安全対策を怠るだけで大きな危険に巻き込まれる可能性があるんです。急いでいる時、酔っぱらって開放的な気分になっている時、興奮冷めやらぬ状態でも、いつでも気を緩めず、常に警戒する事が大切だそうです。



(5)バス停を間違えて降りてしまい、危険な道に取り残される。

これは私。特に大きな事件は起こらなかったのですが、死ぬほど怖かった…。夜、母と二人で、泊まっているホテルまで路線バスで向かっていた時の事。運転手さんが「そのホテルならこの停留所が近いよ」と教えてくれたので信用しきって降りたら、そこは路上生活者や危険な人たちが集まっている広場。へんなおじさんが叫びながら追いかけてきて、本当に怖かった…必死で走ってホテルへ向かうけど、走っても走ってもたどり着かない!!夜だったので車もあまり通っておらず、タクシーを捕まえるのも大変でした。日本では行き当たりばったりが当たり前だった私だけど、ブラジルでは安全に帰れる確実な方法を、事前にきちんと調べて、確保しておかないといけないんだなと痛感。



(6)ビーチで現地の人と仲良くなったと思っていたら、実はターゲットにされていた。

ビーチに限らず、ブラジル人はフレンドリーなので、どこでもすぐ話しかけてきます。現地の人との触れ合いが楽しいので、来る者拒まず、その日も1時間くらい現地の人と仲良くおしゃべりしていたのですが、私がトイレに行くと言うと…「仲間の家がすぐそこだから貸してあげる」としつこく連れて行こうとするんです。近くの屋台のおじさんが慌てて走ってきて追い払ってくれたのですが、どうやらその人、へんな物を売りつけたり、恐喝したりすることで地元では有名なんだそう…。まさかこんなに時間かけて、丁寧にターゲットを油断させるなんて思ってもみなかったからビックリ。







私の知り合いは、バーで現地の人と仲良くなって飲んでいたらいつのまにかカバンを盗まれた、なんて言っていました。全員を疑ってたらキリがないけど、仲良くなってもある程度の警戒心は持っておかないと大変な事になるんだな、と感じました。


【プロフィール】
加藤理恵(かとう・りえ)
1985年7月29日生まれ。東京都出身。2005年にミスマガジン読者 特別賞受賞。07年に日本テレビ系「サッカーアース」 でアシスタントを務めるなど、ドラマやCM、バラエティなど多方面で活躍。母親は日系ブラジル人でブラジルとの二重国籍を持ち、ポルトガル語を駆使する。 サッカー好きが高じて4級審判員の資格を取得し、Jリーグ取材の裏話をサッカーキングで連載している。2012年シーズン、スカパー!のJリーグハイライト番組「マッチデー Jリーグ」のMC。

■加藤理恵オフィシャルツイッター
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